「鄙びた」という言葉があり、これは温泉宿では褒め言葉となります。
歴史を感じさせる新しい建物にはない魅力がそこにあるからです。
ですが今回紹介する老松温泉は鄙びたを通りこした温泉宿です。
鄙びた温泉が好き!という方でも恐らく「ここはちょっと・・・」と眉をしかめる方もいると思われる癖の強い、いや強すぎる温泉でした。
この老松温泉はそのインパクトからメデイアに登場することもたびたびあるようです。
私はこちらの書籍で老松温泉を知りました。
アクセス
那須温泉の一角にあります。
最寄りのバス停は湯本一丁目です。
ただ、少し奥まったちょっとわかりにくいところにあります。
廃墟風というか本物の廃墟の横にある細道を進んでいくとすぐです。
この廃墟は老松温泉の主人のお父様が道楽で建てたものだとか。
かなり大きめなのでこの廃墟だけでも一見の価値ありです。(中には入れませんが)
全体的にかなり風化しておりますが、一体いつまで営業していたのでしょうか。
外観
そしてこちらも廃墟・・・
ではなく、ここが老松温泉です。
もう一度言いますね。
ここが老松温泉です。
そして重要なのが今も絶賛営業中だということです。
ネット上では廃業の噂も流れておりましたが2018年1月の時点ではまだ営業中でした。
正直、手前にある廃墟よりも荒れ果てており、前情報が何もなければとても営業しているとは思わないでしょう。
私は事前にネットで調べてきたので、「あ、あの写真のやつだ」とそれほど驚きはしませんでしたが、朽ち果てっぷりは想像以上でした。
だって半分側は完全に崩壊しているのですもの。
ですが反対側に回ってみるとこちらは古びてはいますが、壊れてはおらず一応まだ営業していることがわかります。
まずは右手の建物に入って受付をしましょう。
入場料金は大人500円、子供300円です。
なお、現在は日帰り入浴のみで宿泊は受け付けていないとのことです。
この張り紙にも書いてある通り一応割引券もあり、年中無休だそうです。
ただ、一回45分とのことでしたが受付を済ませた時
「誰もいないからゆ〜〜〜っくりと入っていきな。2時間ぐらい。」
と言われました。
入浴客が他にいないと長く入れるみたいです。
内部の様子
内部も外見に勝るとも劣らないインパクトがあります。
中の空気は淀んでおり、とてつもなく埃っぽい。そしてカビ臭い。
この時点でダメな人はダメでしょう。
この時点で私も少しひるみましたが、後には引けないと階段を降りていきました。
物凄く年季の入った階段で歩くたび、きしきしとしなりました。
館内は薄暗く、ちょっと怖い。
正直、とても営業中の旅館だとは思えない内装です。
古くても清掃は行き届いている旅館は多いですが、ここは清掃も行き届いているとは言い難いです。
もうこの写真だけでもそれは伝わってくると思います。
唯一洗面所だけは灯りがついておりましたが、夜になると相当怖そうです。(ここは夜8時までと意外と長く営業している)
廃墟マニアの方もよく訪れるそうですが納得です。
営業中なのにとても廃墟っぽいのです。
色あせまくった哀愁漂う那須のポスター
剥がれ落ちたボロボロの壁紙。
これは温泉の成分によるものだそうです。
当初は修繕もしていたようですが、直しても直してもすぐにボロボロになるので放置するようになったそうです^^:
しかし壁をこんなにもするのに人間の体には良いから不思議です。
温泉について
ここからはいよいよメインの温泉です。
浴場は混浴ではなく、男女別に別れております。
脱衣所も清潔感があるとは程遠いです。
ここも埃っぽくて最後に清掃されたのはいつだろうか?と思ってしまったほど。
ロッカーはもちろん、鍵なんて洒落たものはありません。
電灯のスイッチもありましたが押してもつきませんでした^^;
ここまでの朽ち果てっぷりに不安になりつつも浴場の扉を開けると
おお!ちゃんと温泉があるではありませんか!
当然ですが、ここまでの荒れっぷりがあれでしたので安心してしまいました。
ただ、ご覧の通り二つある浴槽の片方にはお湯が張られておりませんでした。
一応、お湯が張られてないほうの浴槽の方もお湯は出たのですが・・・
カランはありますが、シャワーはありません。
当然ボデイソープやシャンプーなどもありません。
ここはあくまで湯治場であり、体や頭を洗う場所ではないということでしょう。
ですが一応オケなどはありました。(どれも使うのがためらうほど汚れておりましたが・・・)
また、ここの温泉は飲泉が可能なのでコップもありました。
飲んでみた感想は硫黄臭が強めでかなりエグみがあり、クセが強いです。
美味しいとは言い難いですが、よく効きそうな味でした。
温泉の方は乳褐色のアルカリ性硫黄泉。
硫黄の匂いが強めですがぬるめのちょうど良い温度でした。
こういった昔ながらの湯治湯や共同浴場って温度が高めなところも多いのですが、とても意外でした。
なんか見た目からして熱そうでしたし。
主人は温泉には自信があるとおっしゃっておりましたが、確かに浸かってみれば良い温泉だということがすぐわかりました。
キツイ硫黄臭とは対照的に非常にまろやかで肌に優しいお湯です。
ぬるつく感じはなくわりとさらっとしているので、夏場でも気持ちよく入れると思います。
個人的に江戸っ子のように熱いお湯にザバッと入り、さっとでるスタイルは好みません。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのが好きなのでこの温泉の欲感と温度は理想そのものでした。
まとめ
主人に言われた通り、2時間ぐらい入ってしまいましたが結局誰もお客さんは他にくることもなく、貸切で楽しむことができました。
湯船は小さく、4~5人ぐらいが限界だと思いますがお湯自体はとっても気に入りました。
入浴料も500円と銭湯とほとんどかわらない価格ですし、他ではなかなかお目にかかれない建物の外観といい内装といい好き嫌いは分かれると思いますが一度訪れてみることを是非お勧めしたくなる温泉でした。
胃腸病や糖尿病などにもよく効くと評判のようなので湯治にもお勧めです。
また、近くには老松温泉には及ばないものの同じくひなびたを通り越して廃墟のような温泉、雲海閣がありますのでそちらも興味があれば是非
みくぞう
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