書評『オオカミの護符』御岳山、秩父の山に行く前におすすめ。

オオカミの護符、表紙

一見、山とは何も関係なさそうなタイトルですが、実は本書の舞台は

御岳山や秩父の山なので大いに関係あります。

御岳山や秩父の山に行かれる方はもちろん、単純にノンフィクションの読み物としても面白かったのでここで紹介いたします。

内容について

自宅の土倉に古くから貼ってあったオオカミの護符に惹かれた作者が、その謎やルーツを追っていくお話です。

たった一枚の護符からどんどんとその背景にある儀式や、信仰が浮き彫りとなっていきぐいぐいと物語に引き込まれます。

物語といっても全ては作者自らが取材し、体験したことを書き綴ったノンフィクションです。

ですが、ノンフィクションだからこそとても興味深く読めました。

オオカミの護符について

この本の表紙にもあるオオカミの護符は恐らく、御岳山や三峰神社に行かれた方は見たことがあるのではないでしょうか。

オオカミの護符、表紙

ですが特に興味も無ければ、気にも止めない護符でしょう。

実際、私も御岳山や三峰神社には何度も訪れたことがあるので見たことはあると思いますが、正直あまり記憶にありません。

記憶に残っているのは神社や山そのもので護符はこの本を読んで

そういえばそんなものあったような…

と思った程度でした。

恐らく、私以外の多くの方もそうなのではないでしょうか。

ですがこの筆者は違いました。

このお札に興味を持ち、このお札がどんな意味を持つのか、自らで調べようと動いたのです。

そして調べていくうちにこの護符は御嶽講という村の行事からもたらされていたものだということを突き止めます。

御嶽講とは宿と言われる家に集い、御岳山にある武蔵御嶽神社に参拝に行く代表者を決める為の行事です。

そこから筆者自ら、御岳山へと出向くことになり舞台は御岳山へと移っていきます。

そこで見えてきた御嶽講の意味、御岳山に住む人の二つの顔

そしてオオカミの護符の謎が徐々にとけていくのです。

ここからはネタバレになるので詳しくは語りませんが、オオカミ信仰と絡めて御嶽神社や御岳山の歴史についても詳しく説明されております。

御岳山に限らず、山は昨日今日できたわけではないので歴史があります。

ですが多くの方はその歴史を知らずに登っているのではないでしょうか?

歴史を知れば、その山を登るたびに

「かつてここは⚪︎⚪︎があったのだな」

「かつてここには〜〜が行われていたのだな」

と行われてきたことを想像することができ、よりその山を楽しむこともできるはず。

また、御嶽山は山頂に集落があることで有名ですが筆者は実際にその集落の宿坊に泊まっております。

そこでの体験談も詳しく載っているのですがこれを見れば、御岳山に行きたくもなるはず。

『私は御岳山の宿坊の女将さんたちが、山の畑で育てた芋から作る

「刺身こんにゃく」の味が忘れられない。

刺身こんにゃくというと「酢味噌で」と言いたくなるが、ここでは生醤油にわさびがオツなのだ。

わさびも奥多摩の名産品で口の中でとろける刺身こんにゃくとの相性は抜群だ。

このように手間暇かけた山の味を味わいながら、村の話に花が咲き、お酒も進んで楽しいひとときを過ごす」

:本文中より引用

どうですか?

この一文だけでも興味を惹かれたのではありませんか?

実際に行ってみて刺身こんにゃくを食べてみたくなりませんでしたか?

私はなりました。

ちなみにこちらの宿坊などでいただくことができるようです。

また、御岳山だけではありません。

物語の後半、オオカミ信仰は秩父の山々にもあることがわかり後半は秩父の山がメインとなります。

三峰山にはオオカミ信仰があることは知っていたのですが、宝登山や武甲山などにも同じようなオオカミ信仰があることは初めて知りました。

まとめ

本書のジャンルは民俗学にあたります。

民俗学というと小難しそうに感じるかもしれませんが、文章にもクセがないですしとても読みやすいのでそんなことは全くありません。

そしてこの本を読み終える頃にはこの本に登場した山に行きたくなるはず。

現に私はもう一度御岳山や三峰山(神社)に行ってオオカミの護符を確認したくなりましたから。

御岳山や宝登山三峰山などに興味がある場合はもちろん、そうでない場合も楽しく読める良書だと思います。


 

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みくぞう

みくぞう

山の魅力にとりつかれたソロハイカー。 山には主にトレーニングで登っています。 最近はトレランがメインになりつつありますが、ハイキングもあいかわらず好きです。 気づけば山や温泉のことばかり考えているようになったので、細かく役立つ情報を発信していきます。

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